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世界の歴史の中のネックレス

人類はネックレスと共に進化した?〜75000年前の遺跡の中に〜

人類の最初の文化的な足跡といえば、およそ15000年前のラスコーの壁画を思い出す方も多いのではないでしょうか。ところが21世紀に入ってから、こうした史実を塗り替える発見がありました。
南アフリカ共和国のケープタウンから約300km東に、ブロンボス洞窟という遺跡があります。その遺跡で、約75000年前の地層から、およそ1cm前後に大きさが揃っているうえに例外なく同じ場所に穴をあけられた巻貝の貝殻が、60個以上も発見されたのです。
発見にあたったヘンシルウッド教授(ノルウェー/ベルゲン大学)は、その穴を、ビーズ飾りを作るために開けた紐通しの穴だったのではないかと考えているそうです。

この遺跡に暮らしていた人たちは現代人の直系の祖先で、骨製の道具などを使って漁や狩りなどをしていたようです。この遺跡からは他にも身体に彩色を施すための絵の具(酸化鉄の赤い粉末)などが発掘されており、ただ生きるためだけの活動ではなく、身を飾り、化粧をし、明らかに他の生き物とは違う文化的な側面があったと判明したそうです。

現代でも、南アフリカの隣国、ナミビアのカラハリ砂漠にあるマハマシ村では、サン族と呼ばれる人々が、古くからの自然のままの暮らしを継承しています。この部族には、色とりどりのビーズでネックレスを手作りしてお互いに贈りあう習慣があるそうです。子どもが生まれたり、結婚したり、生活の中で助けたり助けられたり。そんな何かのきっかけがあるたびに、ネックレスを作り、老若男女を問わず贈り合っているのです。
サン族の人々は、プレゼントされた首飾りを幾重にも首に重ねてかけています。しかも、どれがいつ誰から贈られたものかをちゃんと覚えているといいます。それは、仲間としての絆であり、支えあう喜び。共に生きていこうとする証なのです。
ブロンボス洞窟で発見された貝殻のビーズも、このようなネックレスとして、大切に身に着けられていたのではないでしょうか。
人類は、75000年前からネックレスと共に歩んで来たと言えるのかもしれません。

ところで、こういった気持ちでネックレスを贈ることは、はるか昔の人々や遥かな地の民族だけの行為ではありません。現代の日本で、あるいは世界中で、親から子へ、祖父母から孫へ、夫から妻へ。結婚、出産、子供の進学、大人になったお祝いなどのさまざまな機会に、美しいパールのネックレスが贈られています。

ネックレスは、今までもそしてこれからも、贈ることによって想いを表現し、身に着けることによってその想いを受けとめる証として、人々をつなげ続けていくことでしょう。